老人ホームに来た手紙
こんにちは。 ご訪問頂きありがとうございます。
今日は、老人ホームに行くと、レセプションで昭子さんに来た手紙を渡された。
実は、前回も手紙の事を言われていて、どこに行ったか?分からないとか、昭子さんが受け取らないとか、色々なやり取りがあったので、今日、初めて受け取ったのだった。
日本のご家族からか? と思ったら、何と、パリのマロニエ会からだった。
私もマロニエ会(パリ日本人老人会)に入っているが、80歳前後の方中心の会のようで、私達60歳代は、御呼びでは無いという印象。50歳代60歳代の方々には、評判の良くない会だ。
が、会費は払い続けてはいる。しかし、足は、どんどんと遠のいた。
もっとも、周りの日本人の方で、この会に入っている方も少ない。
昭子さんも昔は、マロニエ会の創立者の会長さんが生きていらした時には、会員になっていたので、名前を憶えている。会長さんは、良い方だった。私も他界される半年前にお会いした。
昭子さんには、もう既に、マロニエ会の会費も払っていないのに、人騒がせな『かわら版の入った封筒』が老人ホームに届いたのである。不思議な事だ。
昭子さんは、読むのも難しい・・・
読みましょうか?
と、お声をかけたが、要らないと言う。
今日のレクレーションは、お歌の合唱だった。
皆にプリントアウトした歌詞が回ってきて、歌うという趣向。
しかし、昭子さんは、この手の会が嫌い。私も好きでは無い。
よって、今日は、屋上にあるテラスでおしゃべり。
屋上から下を見ると、左手には、昭子さんの窓から見えるお庭。右手には、アルツハイマー病重度のフロアーにあるテラスが見える。
下記が屋上のテラス
今日は、異常気象で日陰で34度、日向で40度近いが、この屋上のテラスは、日陰にいると、そよ風も吹き、実に気持ちが良い。
しかも誰もいないのである。
ラベンダーのお花も植えられていて、私1人だけだったら、嬉々として、居眠りでもしてしまいそうな居心地良さ。 笑
しかし、昭子さんは、こう言った。
私、1人ではここに座るという事は無い。あなたと一緒だから、今日は座っているけど、何かあったら困るから・・・
要は、長年1人暮らしをしてきたので、もし、自分がここで倒れたりしても、誰も来てくれないであろうという不安感が付きまとっているようだ。
離れた場所に人がいる場所で、静かにしているのが安心感があって好きなようだ。
突然、昭子さんは、こう言った。
ここには、車に乗って来たの?
ここには、エレベーターに乗って来たのよ。
5分前の事は、忘れてしまう。
何度も何度も同じ話を繰り返す。
そして、新しいお洋服を1ダース以上も後見人から5月に届いたにも関わらず、今日もボタンの取れた擦り切れて、色褪せしたワンピースを着ていた。もう元の色が何色だったかも分からない・・・
ボタンは2個取れていた。一番上と、ウエスト部分。
座ると、お腹が見えてしまう。
ボタン縫ってあげるよ!
いいわよ。縫おうと思ったら、自分でも出来るから・・・
と、長年の海外での1人暮らし、誰にも迷惑かけず、全て自分で何から何までやって生きてきた自負があるので、人に何かを頼めない。 いえ、頼みたくないのだ。
押し売りも出来ないので、いつもこれ以上言えずに、悲しい思いで老人ホームを後にする。
帰り道、リラのお花?のような木があって、こんなに暑いのに、未だ6月と思い返す。
アンジュ
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