パリで認知症のブログ

パリ在住のシニアです。リタイアした認知症予備軍の夫との生活とパリの老人ホーム。

☆☆☆パリで認知症☆☆☆

パリの老後や認知症に関する記録日記

高級老人施設でボロを着ている日本人

こんにちは。


6月は仕事がピークで、なかなかブログが書けなかったので、久しぶりに更新。
6月に、アルツハイマー村にも行って来たので、時間のある時に、その内容も記載したい。


さて、今日は、昭子さんのお友達のアンヌさんに初めてお会いした。
電話で、既に今日会う件の打ち合わせ済みだった。
何を?って・・・
それは、後見人と一緒に、沢山のお洋服を購入しても、それを着ずに、古くて色もあせ、ボタンも取れたジャンバースカートをいつも着ていたからだ。
冬は、穴のあいたセーターや、ボタンの取れたカーディガンを着ていた。


あまりにもみっともない!と、私も困っていたら、アンヌさんも同じ考えだったようで、ご連絡を頂き、今日は、昭子さんが施設のレストランでランチ中に、そのジャンバースカートをタンスから抜き取って、処分するはずだったのだ。


ちなみに、以前、昭子さんのお世話をしていた日本人の方は、こう言っていた。
『年寄りだから、もったいないと思って、新しい洋服は着ないよ。古い洋服のままで良いじゃあないですか。』と。
随分と日本的な考え方だと呆れていたら、アンヌさんから連絡があって、意気投合して、今日の待ち合わせになったのだ。
後見人ナナさんからも同じ件で、連絡をもらっていたのだ。
昭子さんが、高級老人ホームで、ボロの服を着ているのは、雰囲気が悪くなるので、皆が、困っていた内容だったのだ。
これは、非常にフランス的考え方であり、フランスのマナーだ。



よって、皆さんが12時~14時までランチ時間なので、12時半に、下記の訪問室(家族が訪問した時に一緒にランチが取れたり、お茶出来たり、多目的の訪問室)にて待ち合わせした。

今日は、2組の家族がここでランチするようだ。ランチのセッテイングがされていた。


アンヌさんと会い、昭子さんのお部屋に行き、タンスを開けたら・・・
何と!古いお洋服は全く無く、新品ばかり!
一体、古い擦り切れたお洋服やら、ボタンが取れたお洋服はいずこに・・・
介護アシスタントの誰かが、処分したのであろう。
このボロの洋服の話は、何度も何度も施設にしていたからだ。私もしていたが、アンヌさんもしていたそうだ。苦笑


廊下には、クリーニングウーマンがいて、クリーニングされたお洋服を各お部屋に配っていた。
話を聞いてみたが、昭子さんの洋服は今日は無いとの事。


アンヌさんは、今日私達が行く目的を施設に伝えた時に、一番古くなったジャンバースカートを着ないように指示していたと言う。


が・・・
昭子さんは、そのジャンバースカートを今日も着ていた・・・ 苦笑
仕方が無いので、次回、それを見つけた時には、ゴミ箱に処分して捨てて欲しい!と、責任者に訴えた。


アンヌさんは、さらに言った。
2度とあの古ぼけた紫のジャンバースカートを見たくない!』と。笑
アンヌさんは、2004年より、昭子さんが住んでいたマンションに引っ越してきて友達になったという。
お互いのお部屋に良く行ったりしていたようだ。
彼女は、付け加えた。
昭子さんは、いつもシャネルなどのブランドの洋服を着ていたのに、あんな惨めなジャンバースカートを着ていたら、この施設の雰囲気も台無しだわ』と。笑


アンヌさんも80歳代の方のようだが、すっごくしっかりした方。
このハプニングの後、アンヌさんとカフェで長々と話した。とても好感が持てる人だった。


そして、私は、時計を見て、慌てて、昭子さんの所に戻った。
昭子さんは、案の定、色褪せて、もう紫とは分からないジャンバースカートの上に、ウールのカーディガンまで着ていた・・・

今日は、27度と夏。暑い。私は、半袖のT-シャツだったんだが・・・
昭子さんは、寒いからカーディガンを着たと言う。
施設内は、ホテルと同じなので、1年を通じて、22~23度位に設定されている。


今日は、暑いせいか?テラスには、誰も出ていなかったので、静かで良い。


私がこの老人施設の住人だったら、嬉々と喜ぶような、まったりできて、気持ちの良い場所だ。


何の木か、実までつけていた。


すこぶるお天気が良い。


昭子さんは、70歳代に、乳癌になり、アンヌさんのプッシュでやっと老人専門病院に行ったそうだ。
この施設に入る前は、ご自分のマンションの冷蔵庫には、食料品がいつも入っていたそうだ。しかし、食べたくないと、ほとんど食べなかったようだ。
ご本人は、料理が嫌いと言っていたが、そのせいか? 或いは、アルツハイマーが始まっていたのかも知れない。
アンヌさんは、時々お料理を差し入れしたそうだが、食べたかどうかは分からなかったそうだ。


しかし、ここの施設では、お料理がレストランのように出てくる。お肉以外は、しっかりと食べるようだ。以前よりも益々お元気になったような感じ。


そして、何と言ってもここの施設がお気に入り。これには、皆ほっとしている。
が、実は、すっごい問題児・・・ アルツハイマーになると、それぞれの性格が、浮き彫りになるのか?だんだんと気難しさや火のようになって怒る事が、施設では知れ渡っている。アンヌさんに対してもそうだ。
私も薄々分かってきたので、彼女が怒りそうな状況を避ける。話題を楽しい話題に持っていくなど、今の所は、笑顔で会ってくれる。 苦笑
日本語だと、穏やかに話す。多くのアルツハイマー病の人は、母国語しか話せなくなると言うが、昭子さんは、例外だ。


今日の施設のレクレーションは、画家 ヴァン ゴッホについての話の講演会があったが、昭子さんは、ご興味無いというので、参加しなかった。
個人的には、興味深いが、アルツハイマー患者が70%はいるこの施設で、さて、どれだけの人が話を理解出来るのであろうか・・・?



アンジュ