認知症でも将来が不安?
こんにちは。
老人ホームに5年ほど前から入居されている昭子さんの所に、今日も行ってきました。
入居されて、かれこれ5年ほどと思いますが、ご本人は、何十年もそこに住んでいると思っています。以前住んでいたマンションは、老人ホーム近くだったようで、同じマンションと思い込んでいます。
彼女の口癖は、
ここは、大変気に入っています。自分が買ったマンションだもの。
私は風邪1つしなくて元気。
私の人生は、感謝の人生。両親と彼に感謝。いつも見守ってくれている。
85歳位で、もう背も縮んでしまったのか、140㎝位。体重も35㎏位でしょうか? 骨と皮状態です。施設で、3食きちんと食事されているかは分かりません。
ランチ食べましたか?
覚えていない。。。
でも、今日もおやつは、美味しそうに召し上がります。
ちなみに、今日のおやつは、マドレーヌ2個とオレンジジュース。
これって、無料? いつもここに座ると、すぐに飲み物とか出てくるけど。。。
マンションの管理費に含まれているから心配しないでね。
そう。貴女も食べたら? 私がお金払うから。
真っ白のストレートの髪は肩まであり、横分けにしていて、若い時には、聡明でお綺麗な方だったのが感じ取れます。
免税店のショップをパリで長年営んできたようです。
フランス人には、フランス語で話し、私には日本語で話します。これは、本能かもしれません。日本語だと、本音もお話になります。
私は外人の年寄りで1人だから、皆が不憫に思っているのか? 皆のグループ(ホームのお遊び)に参加しろしろと言うんですよ。
私は、この人達と何の話題も無いから参加したくないんです。
今は、病気1つしなくて健康だけど、いずれは、私も老人ホームに行く時がくるでしょう。
その時は、このマンションも売って、老人ホーム行く事になるでしょう。
その支度もしなければね。。。
と、老人ホームに入っていながら、将来の老人ホームに入る不安を語ってくれました。
長年1人で外国で生活されてきた昭子さんは、認知症で10~20%位しか記憶が無いのに、お金の心配もしています。
その心配もすぐに忘れてしまうでしょうけど、そういう事柄がずっと頭の中心に残っているようです。
多くのフランス人は、80歳平均で老人ホームに入居し、5~10年位入居されるようです。
そして、お1人様の場合や家族が後見人にならない時など法定後見人がつきます。
フランスの老人ホームは、アメリカも同じ位の金額のようですが、月に3500~5500€(45万円~80万円位)します。もっと高い所もあります。が、もっと安い所は、あまりありません。ベルギーとか、他国だと安いと聞いた事があります。
しかし、国内の老人ホームだと、フランス政府からの援助金が降ります。これは、人によって色々異なります。
多くの人々は、入居2~3年で、老人ホームの入居費が支払えなくなるようです。そうなると、国への借金となり、子供達又は血縁関係が支払う義務があります。
又、多くの法定後見人達は、持ち家を裁判所を通じて売ってしまうのです。
ですから、昭子さんも例外に洩れず、入居3年目頃に、彼女の法定後見人は、彼女のマンションを既に転売済みで、その売り上げ金額で、昭子さんは、高級老人ホームにそのまま入居されているのです。
ご本人は、その事を知りません。知る必要もなければ、知っても忘れてしまいます。
どこの国でも認知症になると、不動産等、重要な書類のサイン権が無くなります。
我が家も、夫の状態を考えると、2人の名義の不動産をどうすべきか、弁護士に相談が必要と思っています。
と言うのも似たようなケースを聞きました。
日仏夫婦で子供なし。
ぎりぎりまで夫を看護していた日本人妻。遂に、施設に入れなければならないほどの状態となり、施設に入れたが、あまりに高いので、途中から施設費が払えなくなったとか。
2人名義のマンションは、夫の法定後見人によって、相場より安く売られてしまったとか。。。残った日本人妻は、マンションは売られてしまったが、フランスの良くある制度で売られたので、一応、死ぬまで住めるようにしてくれたそうだが、生活費はぎりぎり。
泣くに泣ききれず、ご自分の将来の不安を抱えているとか。
この見知らぬ方の話が頭に残っていて、今から対策を考えておかないと、将来が怖い。。。。
パリには多くの日本人が住んでいますが、フランスのシニアの制度等は、日本人会や日本人老人のマロニエ会でさえ、理解されていないのが現状です。
よって、自分でコツコツと情報集めをして、自分の将来に備えるしかないわけです。
アンジュ
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