パリで認知症のブログ

パリ在住のシニアです。リタイアした認知症予備軍の夫との生活とパリの老人ホーム。

☆☆☆パリで認知症☆☆☆

パリの老後や認知症に関する記録日記

パリの老人ホーム 日本の施設との違い?

こんにちは。


電話が鳴った。出ると、89歳の昭子さんのフランス人後見人のナタリーさんからだった。


昭子さんの具合どうかしら?


と、電話がかかって来たのだ。現状報告したりしたのだが、ナタリーさんがこう言う。


昭子さんに会いに行って貰っている理由は、彼女が気分良く、幸せな時を過ごす事だからね。1時間と言っても、彼女が嫌がったら10分で帰ってきてね。逆にもっといて欲しいといえば、1時間以上になっても良いからね。


痴呆症緩和が主流と思っていた私は、なるほど、実にフランス的な心のケア配慮と感心した。


フランスには、心のケアがある。


人間は誰しも心のゴミやら何らかのトラウマがあったりする。
それを皆知っているので、短い時間だけでも至福の時間を持とうと、シニアの方々は、色々な趣味を持って、外出するようにしている。
出来るだけ人々の良い点を見つけて、人を褒める。非常にポディテイブ。
世の中には、ストレス過多で人の悪い所ばかり見る人がいるが、それは自分を不幸にしているだけ。
友人同士でも出来るだけ楽しい時間を共有しようとする。
人を不幸にするようなネガティブ発言は、白い目で見られる。



2週間ほど前、日本からいらっしゃっていた方は、大阪の病院が経営する老人施設でお仕事をされていらっしゃる方だった。
高級施設では無く、一般的な施設だそうで、月々20万円ちょっと位とか。
アジア人の外人もいるそうだが、後見人が、母国語が話せるような人に来て貰うような配慮は一切しないそうだ。
しかも驚いたのは、その施設では、入居されている人々同士の交流は禁止されているそうだ。
色々規則も多く、入居されている皆さん全員が、多くの薬を毎日飲まされているとか。
さらに、夕食には、睡眠薬が少量入っていて、夜間担当者に迷惑がかからないようになっているとか。。。
さらに、食べれ無くなれば、胃瘻をつけ、歩けなくなれば、ベッドに寝かせて、お腹あたりにパイプの台?を置くとか。。。


こんな施設には、私は絶対に入りたくない!


と、その方はおっしゃっていた。


う~ん、、、、フランスの施設と凄く違う!


パリの施設は、自由がある。パリの生活自体が自由だ。
今日もクレープを焼くと言うので、アルツハイマーフロアーに行ったが、実に色々な方々がいる。昭子さんが、まともに見えてくる位。
それでも皆さん、自由。毎週のようにクレープを焼いたり、音楽等で、老人達が退屈しないように、充実した日が送れるように施設は考えている。


アルツハイマーフロアーは、エレベーターだけは、暗証番号を押さないと動かないので、迷子になる事は無いが、徘徊の人達もいるし、騒いでいる人もいるし、金切り声を時々発する人、よだれを流している人、手を小刻みに震わせている人、車椅子の人などなど。。。


しかし、誰も薬は飲んでいなさそう。病気の人以外、薬は基本的に飲まない。
私達は、ホームドクターシステムだが、私達さえ、病気になっても最低限の薬しか飲まない。もう10年以上前から、薬は、副作用が伴うので、出来るだけ薬を飲まないようにというTVの宣伝まであった。
何十年も昔は、フランスも日本のように薬大国だった。世界に薬を売る駐在員や営業マン達がいたので、友人の他界した父親も今から60~70年前に、日本やアメリカや世界中に製薬会社の仕事で行っていたそうだ。


パリの老人ホームでも施設内で仲良くなる人達はあまりいないが、それでも、笑顔で挨拶して、横に座れば、話をする。


又、夕食に睡眠薬なんか入れたら、犯罪でその施設は訴えられてしまう。


高齢で食べれ無くなったら、それは、苦しまずに、徐々に旅立ちに向かっている証拠で、本人はお腹も空いていないそうだ。自然に旅立たせてあげるのが、フランスの看取り。



随分と、違いが多い。


フランスの方がヒューマンと言えるが、全てが良いわけでは無い。
日本のきめの細かい看護士さん達のサービスは、きっと世界1であろう。


クレープを焼いていたお部屋の横のテラス。春になったら、アルツハイマーの方々もテラスで日光浴出来るようになっている。


アンジュ