パリで認知症のブログ

パリ在住のシニアです。リタイアした認知症予備軍の夫との生活とパリの老人ホーム。

☆☆☆パリで認知症☆☆☆

パリの老後や認知症に関する記録日記

老人ホームのミュージカル

こんにちは。


今日は、老人ホームの昭子さんをお尋ねする日でした。
週に2回行っています。他に、昭子さんのフランス人のお友達が週に2回行っているようですので、昭子さんは、幸せ者です。


施設に行くと、今日はミュージカルがあると、レストランの横を通った時に聞きました。


彼女のいるフロアーに行くと、ぽつんと1人いて、
今日は、誰もいなくてちょっと寂しい。。。


ミュージカルがあるけど行きますか?


行きたい!行きたい!


という事で、レストランの方でやっているミュージカルに参加。


こんなに沢山の帽子も用意されていました。


少しずつ、施設の人々が揃ってきました。


ミュージカルなので、簡単なストーリーがあります。
コートダジュールから始まり、豪華船で世界一周の旅に出かけていくのです。
その国ごとのイメージの帽子とか、アクセサリーを持ちながら、その国のイメージの歌を歌って踊って、、、と、いうミュージカル。
カンタンな手品も途中でご披露。
私が見ていると、結構オモシロイのですが、、、
認知症の昭子さんは、最初の内こそ、喜んでいたのですが、、、、
何が何だか分からない。。。
と、最後は、退屈されていました。


風船に、針を刺してもこの通り、破裂していません という手品?とか、、、


面白かったのは、ホールの責任者が、お部屋の端にある施設の人のカーディガンを取りに来て、皆の前を横切る時に、歌手ダンサーのお姉さんと同じように、タンゴを踊りながら横切った事でしょうか? 笑 
皆、爆笑していました。


これで思い出すのが、パリマラソン。
我が家のマンションの横の道をパリマラソンが通る日でした。道は、テープがしてあり、横切れません。
夫がお買い物に行き、どうしても道路を横切らない事には、スーパーに行けません。
それで、どうしたの?
僕もマラソンしているフリしながら、横切った!
想像しながら、爆笑。


イタリア、スペイン、ギリシャ、ブラジル、下記は、中国に到着という設定。
他にもアルデンチンとか、メキシコとか、NYとか、、、


下記は、メキシコ。
歌手ダンサーの息子さんも学校が終わって、一緒に来て、ママのお仕事をお手伝い。


彼女もメキシコの帽子をかぶって喜んでいます。


ホール責任者が、施設の人達の写真を撮って、喜ばせていました。
こういう光景を見ると、老人ホームには見えないですね。 笑


歌手ダンサーのお姉さんが、今度は、こちらの帽子を。。。と、配っていました。
ロンドンイメージだったかな?


そのロンドンも最初は、イギリス人訛りのフランス語で話すので、皆爆笑。
フランス語を聞くだけで、私もイギリス人かイタリア人かアメリカ人か黒人かマルセイユ出身か?など、かなり分かりますよ。
そして、今度はイギリスの歌を歌いながら、言葉を入れて。。。
夫ったら、パリに秘書と残るなんて言うのよ!
あら、私ったら、余計なおしゃべりを。。。
ここで、又、爆笑。


こういうのは、認知症では、無理だから、昭子さんは、退屈そうにしていました。


最後にロンドンからパリに潜水艦で帰ります!
というので、男性ウケしていました。
通常は、ロンドン パリ間は、ユーロ―スターです。東京から名古屋位の感じですので、パリにいらっしゃったら、ロンドンにも1泊2日で行けます。
ベルギーのブリュッセルならば、私は新幹線で日帰りで行っていますよ。


パリの素晴らしさを歌った歌には、昭子さんもリズムを取り始めて、ご機嫌。


ミュージカルは、好き不好きもあるし、頭がはっきりしていないと理解出来ないかも。。。
施設の老人達は、ピアノのコンサートの方がお好きなようです。





昭子さんは、時々頭痛がするとか言います。
夫も1年前に頻繁に頭痛がすると言っていました。
認知症だと、脳が委縮していくようですが、この委縮の時に頭痛がするのであろうか?と、根拠の無い事を考えてしまいました。


夫は、昨年は物忘れが結構目立っていたのですが、今年になり、かなり元に戻ったかのように、前日のニュースも覚えています。
特に今は、プーチン大統領がウクライナを攻めているので、プーチンに怒りを覚えているらしく、毎日ニュースを見て、頭をフル回転させていますので、錆びも取れたのかな?
そのお陰で、最近は、平常に戻りました。 笑
逆に、私の言葉のミスを指摘されるくらい。笑


今夜も、、、
この固くなったパンをスープに使ってね。
と言おうとしたら、間違えて、
これをパンに使ってね。
と言ってしまってから、間違いに気が付いた!
ええ? 今、何て言った?スープだろう。


認知症予備軍の夫から指摘され、かなり正常になってきた!と喜びもつかの間、、、
夫よりも私の方が、認知症予備軍かも。。。。苦笑


アンジュ

ケーキの取り合い・・・

こんにちは。


老人ホームの昭子さんの所に行ってきました。


今日のパリはお天気が良く、老人ホームの窓から見える木には、鳥も多く来ています。
春が近づいてきましたね。

白と黒の鳥が良くさえずっていましたよ。春ですねえ。。。


今日は、ピアノコンサートがあるという事で、お天気が良いせいか? 50人近く?の人達が参加しました。
前回のアコーディオンよりも参加者が多いです。入居されている方のほぼ全員だとか。。。
女性が圧倒的に多く、男性は、10人もいるかいないか。。。


起きれない老人もいると思うので、ホールになっているレストランに集まった方々は、認知症かパーキンソンか、未だお元気な方々ばかりです。


このピアニスト リザさんは、いつも施設に来る方で、大人気。
とってもお上手。


目を閉じて聞いていると、ホテルのバーとか、シャンソニエのピアニストさんのような選曲と弾き方でした。
恐らく、そういった場所でもお仕事をされていらっしゃるのでしょう。


素晴らしく楽しい選曲と弾き方で、タンゴやクラッシックやオペラ曲など、オペラ歌手のように歌う車椅子のご婦人に合わせて弾いて下さいます。
プロって、こういう事ね。と感心させられました。


途中で、80歳位のご婦人が、50歳代の娘さんに手をひかれて、ダンスを踊りだしました。
ほのぼのとした光景です。


89歳の昭子さんも音楽が大好きで、いつもの席。テラスも見える窓際。
夏になれば、テラスでお茶も出来る老人ホーム。


アルツハイマーのアニーは、いつものようにボシェットバックを斜めにかけて、新聞や雑誌を持っていたり、読んだリされています。80歳位でしょうか。
そして、お隣の人に、こんな事件があると、新聞をお見せになります。


アニーは、何かショッキングな出来事が引き金でアルツハイマーになったのかしら?と、思っています。
私にも『あそこで人が倒れている・・・見てきて・・・』とか、言います。


日本に住む友人のお母さまも80歳位の時に、車を運転していて、駐車し、ドアを開けたら、後ろからドアにバイクが突っ込んできて、そのショックからアルツハイマーとなり、5年ほど独身の友人が母親の看護を自宅でしていましたが、症状がどんどん悪化して、これ以上はとても無理という所まで来たので、今年になってから、急遽施設に入れたとメールがありました。


ここの施設は、皆が幸せそうで平和。


50人近く?の人々の中で、2月のお誕生日の方々のお祝いとなり、名前を読み上げました。
何と!10人以上の人達が2月生まれ! びっくり!


昭子さんは、


何だか、気持ち悪くなってきた。


お部屋にいきましょうか?


音楽の途中だと、ピアノを弾いている人に悪いから、この音楽が終わったら。


と、老人性痴呆症でも人に気遣いし、自分は少し我慢する。これは、昭子さんの性格の本質なんだと思います。
人間は、老人になると、又、痴呆症になると、その人の本質だけで形成されていくような印象を持ちました。
私も痴呆症になっても自分の本質の良い部分が保てれば幸せですが、逆の部分だけになってしまったら、生きていても意味が無い、、、逆に不幸だ、なんて、思ってしまいました。
が、自分が認知症になったら、きっと、そんな事も考えないのでしょう。。。。



そして、昭子さんは、日によって、少々頭が痛い時があったり、胸がすっきりしないとか、寒気がするとか、徐々に、ひ弱になってきている感じ。。。89歳にもなれば、日によって色々調子の悪い事が出てきますね。


一緒にホールを出ようとしたら、ホール責任者に、


ケーキ味見してみて。


と声をかけられれば、昭子さんは、おとなしく白いテーブルクロスのかかったテーブルの席に座ります。
目の前に、今日は、美味しそうなケーキが出てきました。


飲み物は?
紅茶


私は、そろそろ帰りますね。又ね。


そこへ85歳位の真っ白な髪に、真っ赤なお洋服を着た痴呆症風のご婦人が登場。


こちらにおすわりになりたいですか?
と、椅子を引いてあげたら、、、、


何と! 突然、昭子さんのケーキのお皿に手を出し、昭子さんとケーキ皿の取り合い!


これは、私のよ!


と、認知症の2人が1つのお皿の取りっこを始めたので、、、


マダム、あちらにケーキあるわよ~


と、お声をかけたら、、、
ささっ~と、ケーキワゴンまでいきました。
いや~、こういう時は、歩くのが早いですね。笑


皆さん、ケーキ大好きなんです!


うん、確かに。
フランス人の友人宅に、アフタヌーンティーのご招待を良く受けるのですが、毎回、美味しいケーキとシャンパンが出てきます。笑
このシャンパンとの組み合わせが、パリのアフタヌーンティーですね。笑
でも、、、1人2個は、多過ぎでしょう! 笑



アンジュ

幸せなZENの人

こんにちは。


老人ホームの昭子さんを訪ねる途中には、梅の木?があり、お花が咲いていました。



もう春はそこまでやってきていますね。


施設に到着すると、元気いっぱいだけど、アルツハイマーのアニーが、玄関にいました。
ぼんじゅ~る アニー。元気?


貴女は私を知っているの?


先週会ったのよ。


私の家族も知っている? ここに家族でもいるの?


と、目を輝かせて聞いてきました。彼女は、遠いアンシ―に住んでいる家族に会いたがっている人。




そして、エレベーターで上に上がり、昭子さんのお部屋を訪ねました。


ぼんじゅ~る 昭子さん 今日のお加減は如何ですか?


今日は、寂しいの。誰もいないのよ。


そうね~。廊下にも誰も歩いていないわね。今日は、ダンスの日だそうですよ。皆、レストランに集まっていると思いますよ。


ダンスいらない。


そう。ここで、おしゃべりしていましょうね



昭子さんは、85歳位と聞いていたのですが、お誕生日を聞いたら、突如記憶が一瞬戻ったのか、答えてくれました。


昭和8年7月


1933年という事は、今年89歳になるのです。


ここの施設では、彼女は日常の世話係より、


彼女は、ZEN(=禅=静か)の人。木とお話しする人。


と、言われています。


そして、お部屋の扉には、こんな張り紙?がしてあります。



他のお部屋だと、こんな感じで、その人のイメージ?の写真があります。


おやつは、15時半~16時に、こんな感じで、持って来てくれます。
よく見ると、ワゴンには、歯の無い方用のプリンか何かのピューレ状のおやつも8個位のっていました。
お隣では、このフィナンシェ?のお菓子を車椅子のご婦人に食べさせているスタッフもいます。
昭子さんは、自分の足で歩き、自分の手でお菓子を小さくちぎって、自分の歯で噛んで召し上がっています。しかも、おむつもしていないと聞いていますが。。。


さらに、私に気を使ってくれます。


貴女も何か食べたら? 私がおごるわよ。


大丈夫よ。今、沢山食べてきた所だから、お腹がいっぱいなの


老人性痴呆症。時々、頭が混乱するとか、痛いとか、何も分からなくなってしまったと、ご本人もツライ時がある。



昭子さんは、ここの施設にいるので、安心。本人も幸せで、


これ以上何も望むべきものは無いわ


というのが、口癖。


どこまで分かっていて、忘れてしまったのかのか。本人にも分からない。
やはり、これが幸せなんでしょうね。


アンジュ